範囲 |
荒崎・東干拓・西干拓の水田と高尾野川河口の一部 |
---|---|
名称 |
出水ツルの越冬地 |
面積 |
478ha |
ロゴマークに込めた思い:干潟を地面と水の色、形で表現
ツルの姿は、出水ツルの越冬地の豊かな自然環境の中でくつろぐ姿を表現
「出水ツルの越冬地」は主に干拓地で、早期米や普通米を生産している田んぼです。干拓は江戸時代から始まり、およそ300年かけて行われ、今の姿となりました。
湿地には、そこの豊かな生きものをエサとする水鳥などの動物が集まります。出水市では、およそ300種の野鳥の観察記録がありますが、中でも全国的に珍しいのは、やはり「ツル」でしょう。
出水市は、日本最大のツルの越冬地で、世界15種のツルのうち7種と1雑種の渡来記録があります。出水市で越冬するツルで一番多いのはナベヅルで、次に多いのがマナヅルです。東アジアのツル類の繁殖地はロシア、モンゴル、中国です。出水には毎年10月半ばに第一陣が渡来して冬を過ごし、2~3月にかけて北帰行します。
出水市における活動の一例をご紹介します。
「出水市ラムサール条約湿地保全・利活用計画」をもとに、事業を推進しています。
「越冬地保全の歴史と豊かな自然環境を未来の子どもたちに」を基本方針に、「ツルの越冬環境の改善」、「歴史的景観の保全・再生」、「多様な生きものの生息環境の創出」、モニタリング・啓発活動の実施」の4つの視点から具体的な取組を進めています。
湿地から得られる恵みを次の世代へと受け継ぎながら活用する、ラムサール条約の中核となる考え方です。「先人の知恵に学びつつ湿地の恵みを持続的に活用」することを基本方針に、「一次産業の振興」、「観光への利活用の推進」の2つの視点から、具体的な取組を進めています。
出水市では、子どもたちを中心に「ツル」をテーマとした交流・学習を進め、湿地環境に親しむ機会や、湿地の重要性について理解する学習機会を作っていきます。「湿地を身近に感じ郷土愛を醸成」することを基本方針に、「地域間交流の推進」、「環境学習に向けた支援」、「拠点施設の機能充実」、「情報発信」の4つの視点から具体的な取組を進めています。
出水ツルの越冬地では、ツルの一極集中により、ひとたびツルに感染症が発生し蔓延した場合、ツルの大量死や種の絶滅リスクが懸念されます。また、出水市の重要な産業である養鶏業にとっても、感染症は大変なリスクとなっています。それから、出水ツルの越冬地には、野鳥撮影やバードウォッチングで多くの観光客が訪れますが、中には、危険な脇見運転や路上駐車がみられます。このような行為は、農作業やそこに住んでいる人の通行にも支障を及ぼします。
これらの課題の解決に向けて、2016年から、とくに観光目的の来訪者に対してツル越冬地への入域制限の協力を求め、利用を調整してきました。また、越冬地の環境を保全し、持続可能な利用を進め、未来の子どもたちに引き継ぐために、「越冬地環境保全協力金」をお願いしています。協力金は「出水市ラムサール条約湿地 保全・利活用計画に関する事業」に活用させていただきます。例えば、「ツル越冬地の環境保全」、「防疫体制の強化」、「ツルの保護管理」などがあります。
周辺住民の皆様及び観光客の皆様には、本事業の目的をご理解いただき、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
「出水ツルの越冬地」を保全し、活用して行くための指針となる「出水市ラムサール条約湿地保全・利活用計画」は、令和2年1月から出水市ラムサール条約登録推進協議会及び同部会において作成を進め、令和4年3月に完成しました。この計画に基づき、様々な事業を推進していきます。